歯周病をブラッシングで治す
6月14日の日曜日、免疫学で著名な安保徹先生と新宿区開業の歯科医師小西昭彦先生が講師の「ストレスと歯周病」というセミナーを受けてきた。 今年の3月にも、歯周病治療で有名な長野市の谷口威夫先生のセミナーを受けた。 2つのセミナーとも、歯周病治療の主体を患者さん自身によるブラッシングに置いている。 もちろん歯科医院に於いても歯石の除去をはじめとして歯にかかる力の問題や食物の流れや清掃性を考慮した歯や冠の形態等、来院してもらわなければできない治療もあるわけだし、患者さんのブラッシングにばかり歯周病の進行の責任を押し付けるのは間違っているが、患者さん自身が「自分で治していくんだ。歯を失わないようにするんだ。」という強い気持ちを持っていなければ歯周病は良くならない。 だから両先生の歯科医院でも、患者さんには半端でない時間を掛けてブラッシング(歯肉のマッサージ)をしてもらう。歯間部に毛先を突っ込み振動させる方法で歯肉に刺激を与える。実はこの方法、私も右上のブリッジの所が痛くなるとやっていた。歯肉の違和感が気になるのと食べかすが入り込むため毛先をぐいぐい突っ込みたくなるのだ。両先生の歯科医院では歯周病の患者さんにこれを1回の歯磨きで20分~1時間。おそらく理想的には1日3回以上やってもらう。 患者さんは抜きたくない一心で熱心に実行するため(小西先生の患者さんでは腱鞘炎になった人もいたという)、歯肉の見た目も良くなり、ぐらぐらも改善して噛めるようになり、さらに続けていくとレントゲン像でも失われた歯槽骨がある程度再生しているのがわかるようになる。 歯肉をマッサージする(小西先生は「賦活化する」という言葉を使った)ことは、歯肉の血行を良くし免疫力をつけて歯周病菌に抵抗できる歯周組織をつくることや、さらには破壊された組織の再生にもつながることになるのである。 このように歯周病治療ではただ単に原因であるプラークや歯石を取り除くだけでなく宿主の免疫力を向上させることが重要なことがわかる。(このことは一昨年受けた丸橋歯科医院でのセミナーの中でも患者さん向けに強調されていた。)実際免疫力が高いと思われる人は口の中が少々汚くても歯周病になっていない。逆に口の中は歯垢歯石もなくきれいなのに歯周病の人もいる。何らかの疾患や疲労やストレスなどで歯周組織の免疫力が落ちた結果罹患したのだろう。免疫力が落ちた状態が長く続くと重度の歯周病になりそのリカバリーは大変になるので、疲労・ストレスをうまくかわすことも歯周病の予防と治療には大切だ。 安保先生は全ての病気は免疫力の低下によって引き起こされると考えておられる。癌や原因不明とされている病気でさえも、ストレスにより自律神経系に異常をきたした結果生じていると考えておられる。ストレスを避けてばかりの楽な生き方も、身体を鍛えることや健康食品の摂取も度を越せば自律神経系のアンバランスを引き起こす。薬を長期に飲み続けることも自身の治癒力をつぶすことになるので寿命を縮める結果になるとおっしゃる。(安保先生の本おもしろいですよ。) さあ、あなたもくよくよせず、怒らず、ゆったりとした呼吸をして、よく笑い、食事に気をつけ、禁煙を心がけ、適度に身体を動かし、睡眠時間を確保し、歯ぐきも磨くようにして歯周病予防をし、健康で長生きしましょう。 |
2009年06月01日 00:00