静岡市葵区鷹匠の静岡駅近くにある歯医者 清水歯科医院

治療に関するご説明をして患者様の疑問を払拭し不安を軽減したうえで治療を開始いたします。

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歯周病と全身疾患

 最近ではテレビCMなどで歯磨剤や歯ブラシ、歯間ブラシの類が数多く紹介され、歯周病に対する知識や関心も昔に比べて高まってきていると思われます。患者さんの中には、テレビなどで宣伝していた歯ブラシや歯磨剤・洗口剤を使っているとおっしゃる方もいます。

 しかし、テレビCMで流れる歯周病の症状がかなり進行した、わかりやすい重度の歯周病であることから、自分とは無関係、自分はまだ歯周病ではないと考えている方もまだまだ多く見受けられます。
 中には自然に歯が抜けてしまったとおっしゃる方がいるように、全く痛みを感じずに歯周病が進行した結果、徐々に歯がぐらついていったにも拘らずお食事ができていたことから、ご自分の歯周病の重症度に気づかない方もいます。
 そもそも来たくもない歯科医院にやむを得ず来院される方は、痛みや腫れがあるか、前歯にトラブルがあって見た目に支障をきたした場合が圧倒的に多いのです。その時に初めて歯周病の危険を指摘される患者さんもいます。
 こういうことから歯周病は SILENT DISEASE とも言われています。

 また1年に1度以上の検診に来院されている患者さんでも、しみる症状や痛みがあると「虫歯ではないですか?」と来院されます。
 確かに、本人にはわかりにくい歯間部の歯根の表面にできた虫歯や、以前治療した歯の、治した所との境目の歯質から進行した二次カリエス、あるいは歯質の経年的劣化に伴う亀裂など、歯そのもののトラブルで生じた痛みのこともあります。直ちに治療しなければならない場合もあり、早期発見が功を奏することになります。
 しかし、同じようなしみる症状や痛みが、歯そのものに原因があるのではなく、歯を支えている歯周組織(歯茎や骨)が原因、つまり歯周病の1つの症状だということが結構多くあります。

 歯周病の直接の原因は種々の歯周病菌ですが、歯周病を進行させてしまう因子として、環境(食生活や歯磨きetc.)、生体(全身疾患や唾液の質etc.)、咬合(歯に加わる過剰な力)が挙げられ、歯周病はこの4因子が関係して発病(!)進行していきます。歯周病が生活習慣病の範疇に位置づけられるのもこういうことからです。

 この中の生体因子についてですが、この4因子が絡む歯周病の発生機序からみると、生体因子である全身疾患が歯周病を悪化させているという構図は容易に理解できると思いますが、最近では逆に歯周病があるとある種の全身疾患が悪化することがはっきり解明され、歯周病の危険性が全身にも及ぶことが大きく言われるようになってきました。

 先日放送された「ゲンキの時間」という番組でも、歯周病と全身疾患の関係をわかりやすく説明していました。
 アメリカではFloss or Dieという言葉があるように「フロス(糸ようじ)で歯垢をとらないと死にますよ」と啓蒙しています。必ずしもフロスを使わなければならないわけではありませんが、それだけ口腔清掃が健康に及ぼす影響が大きいということです。
 
 番組では東京医科歯科大学の新田浩先生が、5mm以上の歯周ポケット(歯の周りの歯肉がエナメル質や歯根表面にくっついていなくて歯の周囲で薄い溝となっている所)が数か所あり、歯槽骨(歯を支えている骨)が1/4以上溶けている人は正常な人に比べて心筋梗塞や動脈硬化を起こす危険が約3倍高いとおっしゃっていました。
 歯周病菌の1種であるジンジバリス菌は血管の中に入って血液を固めてしまうことがわかっています。

 また以前から、糖尿病の患者さんでは免疫力が低下するため歯周病菌に感染しやすく、血管がもろいため歯周組織が栄養不良で歯周炎が治りにくく、重度歯周病になりやすいことが言われていますが、歯周病もまた糖尿病を悪化させることが明らかになっています。
 歯周病菌が発生する炎症性物質がインスリンの働きを低下させるからです。糖尿病の患者さんでは歯周ポケットが浅くなるとHba1cの値も改善することがわかっています。
 
 そのほか歯周病菌が口腔内に多く存在することで誤嚥性肺炎の危険があることや、妊婦の歯周病は早産低体重児出産を起こしやすいことは以前から言われています。

 このように歯周病は恐ろしいものですが、生活習慣病ですから気を付けていれば高齢になっても歯周病で歯を失うこともなく人生を終えることは可能です。
 けれども歯をきれいに磨いている人でも歯根が長く露出していたり歯(歯茎)の不調を訴える人が少なくないことは臨床で感じています。
 これには睡眠不足やストレスなど、抵抗力の衰えが影響していると思います。こういう時には歯周病から守ってくれる唾液も減少し、くいしばりなどで歯には過剰な力が加わり、血行不良から歯肉などの活性が落ちているため、少ない歯周病菌に対しても負けてしまうのです。
 私が尊敬する安保徹先生は「全ての病はストレスから」とおっしゃっていました。
 きれいにしてるのに歯茎が少し調子悪いなと感じたら、「ああ疲れているんだな、早く寝よう。」とか「気晴らしに〇〇でもしよう。」とかストレス発散に心掛けましょう。眠いのに恐怖心から毎日念入りに歯を磨く必要はないのです。(ただし自分の歯磨きがうまくできているかどうかは歯医者さんで確認してもらってくださいね。)

2013年12月08日 00:00

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